蟄虫坏戸 まるで潜水

鯖に鰯にうろこ雲。
空に海が現れる季節。
この季節、自然の冬支度がはじまる。
子どもの頃、なぜ人は冬眠しないのか、と不思議に思ったことがある。
怠惰を望む子どもだった。言い換えれば煩わしいことはとことん嫌な子どもだった。
いざこざとかめんどくさいな、穏やかに過ごしたいな、という子どもだった。なんにもなく学校から帰ってこられたら万々歳。あとは宿題とピアノの練習をして母のご飯食べてお布団入って寝るのが楽しみ、そんな子ども。
タイに住んでいるときはよく海に出かけた。家族はよく遠くまで泳ぎに行くけれど、わたしは浮き輪で波乗り。
ぷかぷか日がな浮かんでは頃合いを見て泳いで戻る。
ときどき、家族に引っ張られて深く潜った。
外が雨気になっても、海の奥深くは静かでなんとも穏やかだった。
内側には穏やかさがあることを知ったのはきっとこの頃だろう。
けれど珊瑚の風景は少し怖くもあった。
なんとなく内臓を想起したから。
10mの24乗と10mの−24乗の景色が酷似するというのはイームズの「POWERS OF TEN」から。
宇宙と人の深層の景色が酷似している様は妙に納得した。
内側には本来、穏やかさが在る。
そして人は最も身近な宇宙。
空に海が広がる季節、穏やかさにくるまれる。

ғɪʟʟᴇ ᴇᴛ ᴄʜᴀᴛ

ᴅᴀɴᴄᴇʀ/ᴘᴀɪɴᴛᴇʀ/ʏᴏɢᴀ ɪɴsᴛʀᴜᴄᴛᴏʀ ɪɴᴛʀᴏᴅᴜᴄɪɴɢ ᴛʜᴇ ᴀᴄᴛɪᴠɪᴛɪᴇs ᴏғ ᴋʏᴏᴋᴏ ɴᴏʙᴜᴄʜɪ.

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